若いのに歯周病が進行する侵襲性歯周炎の患者さん
- カテゴリー:
- 再生療法歯周病治療矯正歯科
治療前
治療後
患者さん情報
30代
男性
- 主訴
- 右下が腫れた
- 治療期間
- 3年
- 治療費用
- トータル187万円 矯正88万円 歯周再生療法 16万5000円×6
※通院回数や費用は、同じような症状であっても、個人差により大きく異なることがあります。
32歳 男性です。
4年前に右下が腫れたと来院された患者さんです。
重度の侵襲性歯周炎でしたが、頑張って治療されました!! 3年です。3年!!
侵襲性歯周炎といって10〜30歳代の若い時期に歯を失ってしまう方がいます。
侵襲性歯周炎の罹患率は、0.1〜0.05%といわれ、1000〜2000人に一人の割合です。
ご両親や、祖父母に早期に歯を失った方がいれば、もしかしたら、侵襲性歯周炎のリスクがあるかもしれません。
全額的な歯周外科処置と矯正を行っています。
あちこちに虫歯や歯茎があ腫れた場所があったので、パノラマレントゲンを撮ってみると、歯を支える歯槽骨がかなり吸収していることがわかりました。
青い線が理想的な骨の位置の線で
黄色い線が歯周病が進んで骨が吸収してしまった線です。
青い線と黄色の線に囲まれたところが、骨がなくなってしまった場所です。侵襲性歯周炎といって10〜30歳代の若い時期に歯を失ってしまう方がいます。
初診時の口腔内写真です。
右下の銀歯は、半年以上前に外れたまま放置、左上六番 左下六番は、被せ物が外れたまま放置した結果、虫歯が進み、根っこが残った状態になっていました。
お口に関心がなく、どこか痛くなれば歯医者に行き、治療を受けるとといった状態でした。
また、喫煙者で1日20本、10年以上吸っている状態でした。
家族の母がたの祖母が早期に歯を喪失しており、侵襲性歯周炎が疑われました。
上前歯が、前歯に突き上げられて、前歯が開いてくる、フレアーアウトと呼ばれる状態でした。
本人も夜間就寝時の嚙みしめを自覚しており、下顎前歯部の裏側や、上顎の奥歯の頬側に骨隆起という骨の出っ張りが認められ、噛む力や、嚙みしめによる力の関与が疑われました。 歯周病の検査の結果です。
歯周病の検査は、ポケットプローブと言われるメモリのついた針のような器具で、歯周ポケットの周りを測っていきます。歯の周囲を6点の場所で測ります。3ミリ以下健康な状態で、数値の大きい場所ほど、歯周病の進行度は悪くなります。5ミリを超える歯周ポケットの場合は、歯周外科治療の対象にになります。
私は、患者さんに、信号に例えて、
3ミリ以下 青信号 4ミリ 黄信号 5ミリ以上 赤信号
と説明してます。
また検査の数字には、赤と黒の数字があります。赤い場所は、歯周ポケットの測定時に出血してきた場所を示します。出血は、その場所に炎症があり、そこに歯周病菌がいることを示します。
この患者さんは、6ミリを超えるポケットが、48.3%でした。また出血している場所が、67.2%でした。
かなり重症な状態だとわかりました。
歯周外科処置が必要になる状態でしたが、この患者さんは、喫煙者でした。
喫煙されていると、口腔内の血行が非常に悪く、免疫機能が十分に働かない状態
になっています。
そのため、外科処置をしても予後が悪くなると判断いたしました。
以下に、この患者さんの問題点とその対策を示します。
口腔内に関心がなく、口腔清掃が不良で、歯科には痛みがあるときだけ通っていた事
現状を理解してもらい、歯を少しでも長持ちせるために自分自身で歯を守っていけるよう、デンタルIQ向上させる
喫煙者である事
喫煙の影響で、歯周病がさらなる重篤な状態になる可能性があること、
歯周病をきちんと治療しようと思ったら、禁煙が必要になることを説明し、禁煙支援をする
32歳で上下顎の歯槽骨は、高度に吸収している事
徹底的な歯周治療
歯肉の上の部分は、患者自身で、歯肉のしたの部分は我々(歯科医師、歯科衛生士)が徹底的にバクテリアを除去する。
上下顎に骨隆起がみとめられ、歯槽骨の吸収に力の関与が疑われる事
過剰な歯ぎしりなどの力の排除にナイトガード
治療開始 禁煙支援しながら、基本歯周治療を行い、禁煙できたら、歯周外科処理まで行うように治療計画を立てました。
禁煙は、できませんでしたが、減煙には成功し、1日5本以下になりました。
衛生士によるスケーリングルートプレーニングと患者自身によるブラッシングだけでも、かなり歯肉の炎症も改善されました。
レントゲンでも歯槽骨(歯を支える骨)の改善を認めます。しかし、ポケットのは残存したままでした。
実はここまで、1年半かかっております。
長年染み付いた生活習慣や口腔衛生を改善することは、容易ではありません。
歯磨きの状態は、上手になったり、サボったり、を繰り返しながら少しずつ改善していきました。
治療から1年たった治療中の写真ですが、黄色で囲んでいる歯の裏側(特に歯と歯の間)は改善していません。
磨けていないところを、汚れを赤く染め出して確認した後、ブラッシング指導したりしながら、歯を少しでも長持ちせるために自分自身で歯を守っていけるよう、デンタルIQ向上させていきました。
以下の写真で随分、よごれとれ改善した様子がわかると思います。
リスクと副作用
歯周病が進行している人に対する矯正治療
利点
噛み合わせの改善:矯正治療により噛み合わせが改善されることで、歯への負担が軽減され、歯周病の進行を抑える可能性があります。
清掃性の向上:歯並びが整うことで、歯ブラシやフロスが届きやすくなり、口腔内の清掃が容易になります。
審美的改善:矯正治療によって歯並びが整うことで、見た目が改善され、自信を持てるようになります。
歯周病治療との併用:矯正治療を行うことで、歯周病の治療と同時に進行を防ぐことができる場合があります。
歯周再生療法
利点
組織の再生:失われた歯周組織を再生することで、歯の安定性を向上させ、噛み合わせを改善します。
機能の回復:歯周組織が再生されることで、噛む力や口腔内の機能が回復します。
審美的改善:歯周組織が再生されることで、見た目が改善され、患者の自信を高めます。
長期的な効果:適切に行われた場合、長期的に歯周病の進行を防ぐことができる可能性があります。
欠点
治療の複雑さ:歯周病の進行度や患者の状態によって、治療が難しい場合があります。
効果の個人差:再生療法の効果は患者によって異なり、必ずしも成功するわけではありません。
コスト:再生療法は高額であり、保険適用外の場合も多いです。
術後の管理:術後の口腔衛生管理が重要で、患者自身の努力が必要です。
欠点
治療の複雑さ:歯周病が進行している場合、矯正治療が複雑になり、治療計画が難しくなることがあります。
歯の動きに伴うリスク:矯正によって歯が動く際に、歯周組織に負担がかかり、さらに歯周病が悪化する可能性があります。
治療期間の延長:歯周病の治療が優先されることが多く、矯正治療が長引くことがあります。