下の前歯の揺れと痛み(エンドペリオ病変)(患者様の声から移動)
- カテゴリー:
- 歯周病治療
治療前
治療後
患者さん情報
40代
男性
- 主訴
- 下前歯のグラつき、痛み 他の歯医者で、さじを投げられた状態で全く治らなかった
- 治療期間
- 6ヶ月
- 通院回数
- 15回 10万円程度
- 治療費用
- 保険治療
※通院回数や費用は、同じような症状であっても、個人差により大きく異なることがあります。
下の前歯の揺れと痛みを主訴に、当院に来院された患者さんです。
前医の先生も苦労したようですが、なかなか改善せず歯周病専門医ということで来院されました。
患者さんのお口の写真です。
下の前歯の矢印の位置が、腫れていて、そこから膿が出ている状態で、
前歯の裏もみっちり歯石が付いている状態でした。
レントゲンを撮ってみると右下(左右反対になる)一番の根の周りの骨がなくなっているのがわかります(赤の矢印)
この歯は、虫歯ではありませんが、いつの間にか神経が死んでしまい。悪くなった神経から周囲の骨が逃げるようになくなっている状態です。
この歯に電気を当てて診査してみまると、やはり神経が死んでしまっていました。
また、歯周ポケットの状態も通常健康な歯茎が3ミリ以下なのに対して口唇側のポケットは、11ミリ深く、根の先まで骨がない状況でかなり歯周病も進んだ状態でした。
根尖性歯周炎という神経が悪くなった状態と歯を支える部分の骨が歯周病でなくなってしまったダブルパンチの状態でした。こういった二つの問題が一緒に起きてしまった状態をエンドペリオ病変と言い、治りにくく抜歯に至ることも少なくありません。
この歯の問題点として、
エンドペリオ病変である。
歯並びが悪く、隣の歯と近接した状態である。
歯周病で唇側の歯の周囲に骨がない
上の歯とガンガン当たっている
CTを撮影して、CTで構築した3D画像です。歯の周りの骨がないのがわかります。
この画像を見ると抜歯の判断が妥当だと思いますが、現在の痛みが、根尖性歯周炎(根っこの先の病気)からと診断して、まず神経の治療をして、上の歯と当たっているのを調整して様子を見ることにしました。
左上から治療前、右上 歯内治療開始、
左下 根充後、右下 根充から6ヶ月の現在の状態
随分、根の先の透過像(黒い範囲)が改善してます。
炎症も無くなり、歯周ポケットも 改善しました。
この患者さんは、喫煙者だったので、歯周外科を行っておりません。
私は、根の治療を行っただけで、治療を良い方向に導いたのは、当院の衛生士です。
今後は、メインテナンスで経過を見ていきます。
リスクと副作用
歯周病と根尖性歯周炎が併発している状態で、治りにくく抜歯に至ることも少なくありません。
プロによるメインテナンスと日々の自分でのケアは欠かせない。